EWEウェブニュース No.286 (2018-01) 2018-1-26
恩師 伊藤 毅 先生の思い出
服部 守(S35大学院電子工学専攻修士修了)
今年の5月3日は元電気通信科教授伊藤 毅先生の生誕100年です。
普通なら記念の同窓会を開くのですが、今回は記念の「伊藤 毅生誕100年記念コンサート」を下記の通り開催します。
日時:2018年5月3日 13時30分開場 14時開演
場所:トッパンホール
チケット:4,000円
出演:堀内久世 山下洋輔
プログラム:伊藤 毅作曲ピアノソナタ第三番他
お問い合わせ:東京アーティスツ 03-3440-7571
先生のご功績は、日本の音響学を代表されるような広い分野にわたられましたが実は音楽一家です。
先生は著名な作曲家の諸井三郎先生の内弟子になられたぐらいですから。
先生はピアノ曲をいくつも作曲されています。娘さんはピアニスト、先生の従兄弟さんは日本を代表するジャズピアニスト山下洋輔さんです。
娘さん、山下さんが伊藤先生のピアノ曲を中心に記念コンサートを開くわけです。
伊藤先生にご縁のある方、ご興味のある方はお誘いあわせの上、ご参加ください。
伊藤先生の生誕100年を機に私の伊藤先生との思い出の一部を以下に書いてみました。
詳細は、ホームページをご覧ください。(伊藤 毅 検索 又はhttps://goo.gl/2wpD9E)
「名は体を表す」と言いますが、いつも三つ揃いの背広姿で端然とされていました。誠に広い前頭葉で如何にも、智慧の塊のような容貌でした。悠揚迫らない感じで何事にも通暁されて、当方の至らない質問にも分かりやすく教えていただきました。
ご業績の一つとして東京オリンピック国立競技場の拡声装置などの音響システムの陣頭指揮をされ、これにより名誉あるNHK賞の受賞になりました。記念会堂は1957年に完成し、今は立て替えのために工事中です。前のオリンピック大会では、フェンシング会場に使用されました。それまでは早大も学生の増大により大隈講堂(重要文化財 日本で最初の音響設計による講堂)を使用して入学・卒業式は、一日に4回も行われていました。それが大規
模の会場で1回で済むので、大変に楽になりました。
稲音会は卒論終了「感謝会」などの延長拡大版として、1958年の筆者の学部の卒業時に発足し、今年で目出たく還暦を迎えました。先生の退官後の会の運営管理は山崎 芳男名誉教授から、
現在は及川 靖広教授に引き継がれています。当日は研究室の現役の学生による発表会が行われます。音響研究室の先輩OBにとっては、その日の開催前に開かれる現役の学生による研究発表会は、最新の技術レベルの話の数々で老化した脳をリフレッシュします。また時にはわが国の当該分野で活躍したOBからの感想や意見などは、これから巣立つ学生への有益な助言・意見となり時空を超えた「伝承の場」ともなっています。
音響以外で教えて頂いたのは、「酒の飲み方」です。相手に酒を勧められた時に杯を出す時には、「指を全て杯に添えずに、杯のみを掌の上に水平にして出す」のです。ついで頂く相手への「気配り」との事でした。やってみると、なかなか難しいのです。卒業後にもお正月には先生のお宅に伺って、うまい酒をご馳走になりました。いつも奈良の名酒「白鹿」の四斗樽を取り寄せて、生酒をたらふく飲ませて頂きました。何十年も現役の学生や卒業生などが多く集まり、年末の稲音会の総仕上げの感がある懐かしい「新年会」でした。
以上